音楽から建築を作る実験的作品である。私は音楽と建築の間には、必ず何らかの共通項があると考える。学部生の間では音楽と建築の類似性に着目した設計課題や卒業論文を作成するなど、音楽と建築を繋げる試みを行ってきた。ただ、音楽を楽譜からそのまま建築化した作品の多くは、動線が線的で一方通行な建造物になりがちである。本卒業設計の切り口は、音楽から建築を作るとはいえ、建築までも線的にならなくても良いのではないかという点にある。私は音楽におけるコード進行がトニック・ドミナント・サブドミナントの3種類存在する点に着目し、3種のコード進行を、三次元空間上のxyz軸に当てはめ、その軸上に配列した空間要素の感じ方が音楽の音の感じ方に近ければ、音楽を感じられる空間が作られると考えた。本設計では,ショパン・バラード4曲の「音楽の中核をなす一部分」をコード進行とリズムから空間の結晶を作り、それらを繋げ敷地に溶け込ませるという操作を行った。
制作者:増子雄太
honors and awards
日本大学生産工学部卒業設計審査会 卒業設計賞/3位、UIA記念賞、第46回レモン展出展作品